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英語力より、心が大事な理由。

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英語力も大事なのだが、それより大事なものがある。 英語力はコミュニケーション能力の根の部分に過ぎず、幹の部分は人間性だ。 英語は自分を伝える道具としてとても有効だ。 相手に自分の心の部分が伝わると、ぐっとくるというか、 たとえ、拙い英語だったとしても、通訳を連れてきてでも話を聞きたくなるものだ。 今日はそんな話をしようと思う。 Tokyo Fashion Weekにて。 僕は学生の時、シンガポールの銀行マンの通訳としてTokyo Fashion Weekに訪れていた。 関連: シンガポールの銀行にスカウトされた理由。 Fashion Weekのランウェーの入口でのことだ。 Welcome Drinkで、スパークリング酒が振る舞われていた。 「へー、スパークリング酒は海外の人がとても喜ぶだろうなあ」 と思いながらくいっと飲んだ。 とても上品で繊細で、ほどよい甘みもありおいしいと感じた。 僕はそこで知り合った人としばらく、話をしていた。 すると、その銀行マンが珍しく焦った表情でこっちに戻ってきて、 「Ryu、すぐ来てくれ。和服を着た男の人と話していたんだが、なかなか内容を汲み取れない。でも理解したいと思うんだ。彼からは、心を感じるんだ」 ”Hey Ryu, can you come over here? There is an elder uncle I was talking to. I want to understand what he is saying, but English issue. We can't understand what each other are saying, but I feel a "something" from him." すぐ着いていくと、そこには和服姿の、少し年配の男性が丁寧にスパークリング酒をゲストに渡していた。 その銀行マンが僕を紹介してくれて、若造である僕にも、一所懸命に話し始めた。 「そうか、ありがとう。私は、山口県の酒造の者で、地域の運命を担っているつもりで働いてきたんです。このスパークリング酒も私達が情熱を注いでつくったひとつの形でね。この味を知っていただきたくて、ここに来れる人たちに飲んでいただく機会を得たんです」 僕も、銀行マンと同じ感覚をもった。 和服姿や立ち振舞いで...

じいちゃんが教えてくれたこと。

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6月17日〜6/19は、僕にとってとても特別な期間で、 じいちゃんの誕生日と、奥さん(僕のばあちゃん)の命日、僕の誕生日と集中している。 そのため、自分の誕生日にどんな投稿をしようか悩んだ結果、 じいちゃんのことを書こうと思った。 僕はとても良い縁や経験に恵まれてきたと思う。 そのベースを作ってくれたのは、じいちゃんだ。 じいちゃんの教えをシェアし、僕の次の世代の人たちの小さなきっかけになってくれたら、 そんな良い誕生日はない。 与える人になれ 僕が大学生の時、ボランティア案内サークルの活動中、シンガポールの銀行にスカウトされた話を書いたことがある。 シンガポールの銀行にスカウトされた理由。 スカウトしてくれた人と僕には共通点があった。 彼はおばあちゃん子、ぼくはじいちゃん子だった。 共通していたのは、「与える人になれ」と教えられたことだった。 彼の実家はとても貧乏だったそうだ。 僕の実家は比較的裕福だった。 そのため、与えられ方は違った。でも彼も僕も、与える人の根幹の部分は、定着したと思う。 とても厳しかった。 スカウトしてくれた人のおばあちゃん、実はよく知っている。 でも今日は、僕のじいちゃんの話に絞ろうと思う。 じいちゃんは、しつけにとても厳しかった。 背筋をぴんとすることや、箸の使い方を習うのに、積み木を茶碗から別の茶碗へ移動させられたのを、とてもよく覚えている。 怒鳴られた記憶はない。でも善い行いには満面の笑顔でサムズアップ(親指を立てる、よくやった!のようなジェスチャー)、悪い行いには残念そうに顔をしかめる人だった。 アメとムチも上手だったんだと思う。 僕はあまりじいちゃんの教育を嫌だと思っておらず、終わるとユニーや横浜駅に連れていってくれて、欲しいと言ったものは基本かってもらえた。 (あまり欲しい物がないからかもしれないけど) 外国人に話しかけられていた、浴衣姿の女の子 僕は8歳の時に父の仕事でアメリカのサンフランシスコに引っ越し、じいちゃんとはあまり会えなくなった。 でも夏休みなどで一時帰国したときは、じいちゃんの家に泊まることが多かった。 横浜で花火大会があり向かっている時に、 欧米人が浴衣姿の女の子に話しかけていた。 お互い、困っているようだ。 じいちゃんは、「助けてやったらどうだ」と言うので、 英語で話しかけた。 確か、なんで浴衣を着ているのか...

GiverとTakerの見分け方

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  僕はふたつ、見ていることがある。 ひとつめ。当然と言えば当然だけど、GiverとTakerって考えていることが逆だ。 話題でどっちのパターンかが、次第に分かってくる。 まずひとつめは、その人の話題が、 自分に向いているか、周りに向いているかで分かる。 What can I do for you? What can I do for you?(私はあなたのために何ができるだろう?) この考え方の人は、Giverの人だ。 分かりやすいのは、5つ星ホテルやスタバのスタッフをイメージしたら良いのでは。 気が利く人が多く、 「そんなところに気がついてくれるんだ!」 「ちょっとした心遣いが素敵だな」 と思わされることが多いと思う。 それは従業員が周りをよく観察し、全体が心地よい場所であるよう、 自分ができることをする準備ができているからだ。 What can you do for me?(あなたは私に何ができる?) 逆に、Takerは自分にとってのメリットに重点をおいている。 もちろん、あからさまに「(私のために)〜して」とは言ってこない。 出てくる何気ない会話で、 自分が得することを考えているのが次第に分かってくる。 たとえ先輩や上司だったとしても、 GiverとTakerでは指示の仕方や頼み事も全然ちがう。 自分のメリットばかりを考えている先輩や上司にあたってしまったら、 それを我慢する必要はない。なるべく早く権限がある人に相談しながら、 距離をとる行動に移すと良いと思う。 不平・不満を言う人はTakerの可能性が高く、周りに期待しがちだ。 逆にGiverは周りのほうが大事で、不平・不満より心配・不安のほうが大きい。 「もっとよくできたんじゃないか」「困ってそうだけど声かけて大丈夫かな」 といったことを考えている。 GiverのふりをしたTakerが厄介 もちろん、GiverとTakerが混ざった人がほとんどだとは思う。 でも程度があり、どっち寄りかも、結局は話題を要約した時、 What can you do for me?の人か、What can I do for you?かに分かれる。 でも一見、あれこれとGiveするけど、自分が最終的にTakeするための人もいる。 日本語でいえば、ごまをすってくる人に近いと思う。 的外れな贈り物やおせっかいをしてくる人にも...

僕がシンガポールの銀行で学んだこと

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佐賀県唐津市へのインバウンド集客と飲食店向け英語研修を創業した。 やっぱり「なぜ僕に任せるべきなのか」を見せる必要があると思った。 自分のことをよく言うのはあまり得意でも好きでもないけど、 仕事として本気でやっていくと決めたからには、しっかりと自分をPRしていかないといけないし、 自分の経験を共有した価値が高ければ、事業も好循環していくのだと思う。 今日は僕がシンガポールの銀行にスカウトされたときに経験したことを一部、書く。 シンガポールのプライベートバンクでの仕事 立命館大学在学時代、京都のボランティア案内をしたことがきっかけで、シンガポールでの仕事のオファーをもらった話は、以前した。 シンガポールの銀行にスカウトされた理由。 「私たちは日本人をとても尊敬していますが、日本人との関係構築に最も苦労しているんだ。だからこそ、君の若さや経験、柔軟性が必要なんだ」と、大学生の頃、そのシンガポール人は言った。 英語ではこんな感じで言われたと思う。念の為、載せておく。 "We respect the Japanese a lot, but we also face the most challenge managing relationships with the Japanese, that's why we need your help." The private banker told me when I was still a university student." あなたはテーブルになにをもたらす? 英語の商談で、"What can you bring to the table"というフレーズをよく聞いた。 直訳すればもちろん「テーブルにあなたはなにを持ってくる?」だけど、 「どうやってあなたは貢献できるの?」という意味だ。 大学生だった僕は、自分に自信がなかった。 また、祖父の影響で、「人の役に立ちたいと強く思っている」人だった。 見返りはまったくなしで。綺麗事でもなんでもなく、 本気でそう思っている。それが伝わるようだった。 聞かれたことは丁寧に答えたし、いつもベストを尽くしていた。 京都でのボランティア案内サークル ボランティア案内をしている時、僕は高額のチップをもらえることが多かった。 報酬もない...

唐津の飲食店の英語研修を任された話。

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  佐賀県唐津市に移住してきて、3ヶ月が経った。 英語人材を育成したい。 そう思い商工会議所に事業プランを相談しに行ったのが、1週間前。 トントン拍子で、地元の飲食店を紹介してもらい、英語研修を任せてもらえることになった。 成功体験を得て唐津の他の飲食店の語学力も底上げできるよう、大いに実験してくれて良いと言ってくれた。 僕にとっては願ってもみないチャンスで、快く引き受けさせてもらった。 まずは、現場。 僕は現場がとても好きだ。 現場を見なければ、どんな英語を教えれば良いか、具体化しない。 社長にバイトで現場に入れてもらえるよう、頼んだ。 それが一昨日の初めて会った日。バイトが昨晩だった。 イカの活造りを看板メニューにしているお店なのだが、インバウンドが喜ぶコンテンツだと思った。 また提供しているものに誇りをもっているし、その理由もすとんと落ちる。 これは良さを正確に伝えるだけで、インバウンドを魅了できると思った。 英語のハードルを下げる 少し営業に余裕ができた頃、社長がホールスタッフに「入店時の案内を英語で習ってみな」と言ってくれた。 英語の教え方はいろいろあるけど、僕は、「英語への苦手意識を取り除く」ことから始める。 ネイティブだけが来店するわけではない。アジアの国々では英語が文章になると理解できない人もとても多い。 なるべく短く、単語さえ正確ならそのほうが伝わりやすい。 ネイティブに対しても、向こうの土地にいてそれだと一蹴される。 でも向こうがこっちに来ているときには、欧米の人も日本に歩み寄ってくれるのをあらかじめ頭にいれておくと、気が楽だと思う。 入店時の英会話 アジアのユニクロに入るとき、必ず"Welcome to Uniqlo"と言われたのを思い出した。 Welcomeも良いのだけど、やっぱり少し違和感がある。 僕は時短派で、(高級店であっても)日本のようなクッション言葉はあまり入れず、短くまとめる。 どのみち聞かなければいけないことから聞くのが相手にとっても時短でメリットだと思う。 「何名様ですか?」と聞いてしまうのが良いと思う。 僕はアメリカやカナダで英語対応をするとき、"How many of you?"と言っていたけど、 ホールさんからすると、少し言いにくいようだ。 "How many perso...

築地でアメリカ人に言われた、おめでとう。

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 僕は昨年の今頃、築地場外の魚やで売り子をしていた。 世界中からいろんなお客さんが来て、立ち食いスペースは人でごった返す、繁盛店だ。 回転がとても早く、オーダーからさくっと食べ終わるまでのお世話役として、お客さんとの何気ない会話が楽しみのひとつだった。 その時にアメリカのIT業界で勤める、30歳くらいの男性と話していた時に言われたのが、 「おめでとう」だった。 これは英語圏の人たちの価値観をよく表していて、ぜひ知ってほしい価値観だ。 今日はそのことについて話そうと思う。 なんで君が魚やに? アメリカ育ちの帰国子女なら、英語はもちろんできる。 しかも僕は食がとても好きだから、好きこそものの上手なれ。 出てくる刺身の説明や、なぜおいしいかなどの説明に、 「なるほど、だから築地はすごいんだな!お代わり!」といった会話が日常だ。 ある日、いつものようにお客さんと話していると、 「なんで君ほどの人が魚屋にいるんだ?もっと良い仕事があるんじゃないの?」と聞かれた。 「実は、シンガポールやオランダ、アメリカ、カナダ、もういろんな国で結構待遇の良い働着方もしてきたんだ。でもコロナでいろいろあって、お金より自分が一番興味があることに素直になって仕事しようと決心した。魚も関連してくるので、やりたいことの事業化のためここで修行中なんだ」 僕の答えはたいていこんな感じだ。 おめでとう!! 聞いていたそのIT会社で勤めるお客さんから出た言葉は、「Congratulations=おめでとう」だった。 彼の言葉はこう続いた。 「僕も含むたくさんのアメリカ人は、良い大学を出てIT会社に入れたら、それを手放すのが怖いんだ。本当はやりたいことがあっても、なかなか踏み出せない。でも君は、ステータスを捨てて自分なりの道を進んでる。刺激になるよ。だから、おめでとう」 と嬉しい言葉をかけてくれた。 刺激になるの英語はInspiringで、よく使われる。 日本でも「インスピレーションを得る」というが似ている。 Inspiringは学びになったり、なにか新しい一歩に繋がりそうな体験をしたとき、"That's so inspiring"といったように使われる。 話が少しそれたが、確かにそうだ。僕が魚やに立っているのは、正直、勇気がいることだ。 良いことばかりではもちろんない。でも本当にそ...

お金より時間が大事な理由。

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"Word of the adult"という英語フレーズを知っているだろうか。 「大人の一言」といった意味だが、 「はじめは理解できなくても、あとで効果が分かる、深い言葉」といったニュアンスで使われる。 シンガポールの銀行の上司がよく言っていたのが、 "Ryu, money you can always earn back. But time, you can never earn back. So how are you going to spend it now?" 「龍、お金はいつでも稼ぎ直せる。でも時間は、残念ながら戻ってこない。じゃあ、どう今を過ごす?」 これを言われ続けた学生時代や新卒期間があったからこそ、自分が今どんな経験をしたいかにこだわる人になったと思う。 失敗こそ人生の財産。 今日起きたらこんなラインが入っていた。 「龍さん、パスポートもお金もカードも全部盗まれました…」 トルコに行っていた、リゾバ時代の同期からだ。 慌てて電話したら、出た。 意外とケロッとしていて、もう出来ることは一通り終わって、落ち着いてきた頃らしい。 現地でローカルの人が助けてくれて、なんとかなったそうだ。 二次災害には気をつけつつ、いまできる範囲で楽しむよう伝えた。 大事なのは、時間。 ぼくは正直、彼女が成長していてとても嬉しい。 「可愛い子ほど旅をさせよ」というが、本当にそうだと思う。 まあ、気が気じゃないけど(笑)こういう時にはいつも、自分に娘なんかできてしまったら大変だなとおもう。 僕が今の彼女にできることは、「悔しい〜」と悲観的になっているメンタル(当たり前だけどね)の方向を、逆に向けることかなと思った。 繰り返すが、大事なのは「どう今を過ごすか」だ。 大丈夫!おれもしょっちゅう物盗まれてた! 良い経験できたじゃん! 日本帰り着いたら日本の素敵さが分かるじゃん、楽しみになるじゃん♪ 助けてくれた人、連絡先教えておけばトルコに友達できるじゃん! ちゃんとパスポートやお金の復旧に向かっていますべきことが終わってるの、若いのにすごいじゃん! 状況は同じでも、見方を変えるだけで楽観することも悲観することもできる。 旅立って人生だって、良いこともあれば悪いこともある。 旅を最悪で終わるか、良いきっかけにするかも自分次第だ。 僕は彼女に...